ホーム > 市政情報 > 計画 > 企画調整局の計画・事業等 > 神戸市と大学等との連携の取り組み > 大学発アーバンイノベーション神戸(若手研究者の研究活動経費助成制度) > 2020年度 大学発アーバンイノベーション神戸 採択研究及び研究成果
最終更新日:2024年11月20日
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COVID-19対策は、オンライン化による行政システムの改善の必要性を明らかにした。従来の作業をコンピュータに置き換えるだけではなく、ビッグデータの利用と管理を前提に新たな価値を付加する改善が要請されている。その際情報の入力・処理・出力は個人の権利義務と関わるため、法令や例規の見直しが必要となりうるが、自治体における例規管理はかかる構造変化に必ずしも対応していない。
本研究では神戸市を対象として、市民から情報を入力し(申請等)、組織内で処理し、市民へと出力する(給付等)業務プロセスの実態と関連例規を棚卸し的に検証し、市民意識調査と比較法を踏まえて例規管理システムの問題点を整理する。さらには例規管理にとどまらず文書管理・情報管理一般の改革も展望する。
新型コロナウイルスの感染拡大予防に関して、マスクの装着やソーシャルディスタンスを保つことなどの新しい生活様式の遂行が求められている。これは全国民に求められることであるが、自閉症スペクトラム障害者(ASD)にとっては遂行することが難しい行動でもある。
本研究では、今後の新型コロナウイルスの感染拡大を予防するために、ASDに対してソーシャルディスタンスやマスクの装着などのセルフケア行動を教えるための有効なプログラムを検討する。方法は、これまでにもASDの自立的な行動の獲得に有効性を示してきた行動的スキル訓練を中心にして行う。また、本研究で有効性の示された方法をまとめ、ASDに対するセルフケア行動獲得プログラムのマニュアルを作成する。
上田 学(神戸学院大学 人文学部)
1,405千円
本研究の概要は、神戸の映画館文化の歴史に関する参加型ワークショップ及び文献調査を実施し、その研究成果をデジタル・アーカイブとして公開するものである。大学生・市民参加型のワークショップや、デジタル・アーカイブを通じた研究成果の公開によって、神戸の映画館文化に関する若年層の関心を高め、新たな映画観客の掘り起こしに貢献することで、新型コロナウイルスの感染拡大による休業要請によって大きな打撃をうけた単館系の映画館の振興を図るのが、本研究の目的である。
神戸は日本最初の映画輸入がおこなわれた日本映画史の起点であるが、かつて日本最大規模の映画館街を有した新開地をはじめ、神戸の映画館文化という文化資源を活用し、歴史研究から現在の映画館振興に結びつける点に、本研究の特色がある。
黒川 博文(兵庫県立大学 国際商経学部)
3,000千円
本研究は健康管理アプリMy Condition KOBEを使用して、コロナ禍における健康維持をサポートする仕掛け(ナッジやインセンティブ)を明らかにする。
新型コロナウイルス感染症流行の第1波において、外出控えにより、感染拡大を防ぐことができた。しかし、同時に、歩数などの運動量低下により、健康状態の悪化がもたらされてしまったことが予想される。緊急事態宣言終了後の現在も、コロナ前と比べて人の出が少ない。以前の健康状態を取り戻すために、運動量を増やすことは健康改善のために必要である。本研究では、行動経済学の知見に基づき、MyCondition KOBEを活用して、コロナ禍においても、感染予防に気を付けながら散歩に出かけて運動量を増やす仕掛けを明らかにする実験を行う。
井上 舞(神戸大学 大学院人文学研究科)
2,786千円
本研究では、神戸市が抱える諸課題やコロナ後の地域社会を見据えた、地域存続の基盤となる地域歴史文化継承のための実践的研究に取り組む。
具体的には、将来的に地域住民自身が地域歴史文化の担い手になってもらうことに重点を置き、1.地域歴史文化の基礎となる地域歴史資料を保全すべく、神戸市北区をフィールドに、地域に所在する歴史資料の悉皆調査を実施する。2.地域に残された歴史資料を用いて調査・研究に取り組み、神戸市の主要産業である酒造業や、近世以降大きく変化した中央区の景観に関する具体的な歴史像を提示する。3. 1、2を通して得られた学術的成果を、地域住民によりわかりやすく提示・共有する方法について検討し、神戸市の歴史文化発展へとつなげる。
加藤 明恵(神戸大学 大学院人文学研究科)
1,104千円
本研究では、住吉の豪商・吉田家を対象として、近世灘酒造家の文化・学術的活動にかかわる具体的な歴史像を新たに提示する。
吉田家は灘の有力な酒造家・廻船業者として地域経済を担う一方で、古器物・古文書等を蒐集し、模写・拓本を『聆濤閣集古帖』として編集するなど、全国的にも希有な文化・学術活動を展開した。しかしながら現在、地域においてその存在はほとんど忘れられており、神戸の文化史・経済史における重要な人物を見落としてしまっている。そこで、近世中後期を対象に、吉田家の茶会や学術的交流などの文化活動に加え、かかる活動を可能にする廻船業・酒造業についても実態を解明し、神戸の文化的土壌の再検討へとつなげる。
佐々木 祐(神戸大学 大学院人文学研究科)
2,358千円
海港都市・神戸の歴史的・社会的編成は、外部から到来する人・モノだけでなく、様々な病や災害との交渉によっても彩られている。本研究では、そうした経験がどのように想起され記述されたか、またどのように継承され現在に息づいているのかを、さまざま報道・記録資料、そしてオーラルヒストリー資料の収集・分析を組み合わせ、この地に根ざした記憶に人文学的な光を当てることを目的とする。神戸新聞や外国人支援団体との緊密な連携によって進められる本研究の成果は、その都度広く公開され、さらなる資料や経験の発掘・収集と分析へとつながる。開港以降数次にわたる戦争や疫病、そして震災とコロナ禍を経験した港町神戸に蓄積された知恵の数々は、より良き未来の生のための貴重な資産となるだろう。
辛島 理人(神戸大学 国際文化学研究科)
2,256千円
ユダヤ世界とのつながりを考えた場合、神戸にはどのような資源があるか? また、それらは外国からの旅行者を魅了する観光資源になりうるか? 開港以降の神戸とユダヤ社会の関係、特に、ユダヤコミュニティの形成史、戦時期におけるヨーロッパからのユダヤ系難民受け入れ、戦後神戸におけるユダヤ人の活躍、これらの歴史をふまえ、ユダヤ人旅行者を誘致しうる文化資産を整理する。それを通じて、神戸におけるグローバルな歴史文化資源を再発見し、ポストコロナを見越したインバウンド戦略、特にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドからの海外個人旅行者(FIT)の開拓のための観光政策立案に寄与する。
佐藤 真行(神戸大学 人間発達環境学研究科)
2,400千円
新型コロナウィルスの感染拡大が深刻化するなか、都市住民の生活は大きく変容し様々な制約を強いられている。本研究は、災害リスクの緩和やレクリエーションの提供といった従来認識されてきた生態系の機能に対する評価だけでなく、パンデミック下における生態系の価値を認識し、都市域の生態系が都市住民の生活に与える貢献を定量的に評価することで、神戸市において生態系保全を行うことの意義や効果を分析する。これにより、きたるべき将来のパンデミックや、都市開発に伴う土地改変の圧力を想定したうえで、望ましい都市生態系保全策について、生態学、経済学、リスク論の学際的研究によって明らかにする。
原田 和弘(神戸大学 人間発達環境学研究科)
2,808千円
新型コロナウイルス感染症の流行は、高齢者の運動不足をもたらし、彼らの健康リスクを高めることが懸念されている。運動は、健康に大切と分かっていても習慣化に挫折しがちな行動の代表格のため、運動不足の健康リスクや自宅での運動法などの情報を発信するだけでは、運動不足を解消できない。一方、申請者らの実績では、高齢者の運動の習慣化には、運動の自己管理スキル(自己調整)を高める支援が有効である。
そこで本研究では、運動の自己管理スキルを高める情報を中心としたリーフレット教材を開発し、週1回・7週、灘区での募集に応じた高齢者へ郵送することで、同感染症流行下でも彼らの運動時間を増大できるかを検証する。今後、本教材を神戸全体で提供することで、高齢者の運動不足解消と健康リスク低減を期待できる。
大野 朋子(神戸大学 人間発達環境学研究科)
2,943千円
外出自粛が続く中、公園の利用者は著しく増加し、過密状態となった公園での感染リスクが懸念された。実際には公園利用による感染報告は無かったが、今後は感染予防を踏まえた利用法を考える必要がある。一方で、都市公園はKOBE VISIONにより、賑わいやコミュニティ形成の場として期待され、将来の神戸らしいまちづくり構想には、人々の賑わいや触れ合いを創出しつつ、感染を防止する公園利用の提案が不可欠である。
従って、本研究は都市公園の利用状況を感染症発生前後で明らかにし、感染拡大リスクを客観的に分析したうえで、公園の重要性評価を行う。この成果から神戸市の再整備計画に寄与する今後の都市公園のあり方や利用方法を提案する。
北野 幸子(神戸大学 人間発達環境学研究科)
2,642千円
コロナ禍においてクラスター発生への不安や緊張を抱きつつ開所し続けた保育施設が社会基盤を支える重責を担ったことに心より敬意を表する。しかしその機能への社会的認知と実際の体制整備については、園による差が大きいといった実態があったことが予測される。
本研究では特に、不安を軽減し、各種判断の根拠となる研究データの提供や、遠隔にかかわる各種支援に資するため、神戸市内の園のICT環境の実態を調査し、コロナ禍における各種工夫とニーズについて情報を収集し、第二波および今後の感染症や災害時において機能しうる神戸市の包括的保育者支援システム創りを行う。
森村 文一(神戸大学 経営学研究科)
2,395千円
神戸は、最先端のデジタル技術を用いて様々なサービスや消費経験を構築し新たな価値を創造しようとしている先進的取り組みを行っている地域である。一方で、例えば店舗数が増加している地域型・近隣型商店街が多くあり、魅力的な非デジタル経験を提供し続けている地域でもある。 昨今の新型コロナウイルス感染症拡大とそれに伴う緊急事態宣言によって、消費者は強制的にデジタル経験(例えば、電子商取引(EC)やデリバリーサービス、デジタル行政サービスなど)を採用することとなった。「強制的」に、またデジタル経験の価値を理解しないまま「不本意に」デジタル経験を採用した消費者が、今後も採用し続けるのか、採用を止めて従来の非デジタル経験の採用に戻るのか、これら異なる行動を分ける要因や発生メカニズムは理論的には解明されていない。
この研究を通して、強制的にデジタル経験を採用した消費者が、a)新型コロナウイルス感染症拡大の収束後、制限が無くなってもデジタル経験を採用し続けるのか、それともb)新型コロナウイルス感染症拡大以前の非デジタル経験(例えば、従来の小売店舗や飲食店を含む地域コミュニティの利用や、対面コミュニケーション等)の採用に戻るのか、これら異なる行動を分ける要因を特定し、サーベイ調査および実証分析を通してそのメカニズムを解明することを目指す。
谷川 依津江(甲南大学国際交流センター)
408千円
現在、コロナ渦中の世界は人の移動が制限され、各大学の留学プログラムや日本語学校は未曽有の存亡の危機に瀕している。一方、オンライン技術の普及により、バーチャル留学やオンライン国際交流プログラムが台頭し従来の留学のイメージを変えつつある。この流れではコロナ禍後、神戸は留学生数の回復を見込めない。
そこで、本研究は、神戸の街をめぐる自然・人・産業・文化・歴史などのリソースを活用した新しい現地滞在型日本語学習プログラムの開発を目指す。また、留学生招致のための日本語教育関係者のネットワークを創設するとともに、神戸の魅力を伝えるオンライン留学前準備コースを開発し、留学生の街、国際都市・神戸の復興を提案する。
寺田 努(神戸大学 工学研究科)
砂原 庸介(神戸大学 大学院法学研究科)
重村 壮平(神戸大学 大学院法学研究科)
楽天モバイル株式会社
12,000千円
新型コロナウイルスの世界規模での蔓延から三密を避けた行動が求められており、スポーツ観戦などの多人数が一堂に会するイベントにおける混雑緩和は、今後のスポーツ・エンタテインメントやその地の行政にとって最重要課題になる。
本研究は、ストレスなく自然な形で人々の混雑緩和を誘発する方式により、システムを利用した被験者の行動変容に与える影響とその要因を明らかにする。具体的には、イベント等での混雑緩和を a.参加形態の分散による効果と b.帰宅を分散させることによる効果に分け、特に5Gを活用した行動センシングを活用し、イベント終了後の関連コンテンツ提示による誘因効果を用いた無意識での分散帰宅を実現する仕組みを確立する。